『仰せのままに、お嬢様』《完》
     ☆☆☆☆☆



早いもので二月も終わりに
近づいた、平日。


その日大学から帰ると、
前庭でせっせと幹生君が
作業をしていた。


車をガレージに入れている
楓さんと別れたあたしは、
一人で幹生君のそばに
歩み寄って声をかける。


「幹生君、こんにちわ」


「ああリリカちゃん、
こんにちわ」


今日も土で顔を汚して、
せっせと働いてくれてる幹生君。


頼んでないのにしょっちゅう
来てくれて、ほんといい
庭師だよね。


あたしはちょっと労って
あげたくなって、続けて
話しかけた。


「ねえ幹生君。もうすぐ
三時だし、ちょっと休憩しない?

一緒にお茶飲もうよ」


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