『仰せのままに、お嬢様』《完》
「へぇ……」


ちょっと気に入っちゃって
パクパク食べてたら、左側の
幹生君がププッと笑う。


「そういえばリリカちゃん、
甘い物には目がなかったっけ。

僕の父親がおやつに持って
きてた今川焼き、こっそり
食べたことあったよねぇ」


「えっ……」


いきなり恥ずかしいことを
言われて、危うくノドを
つまらせそうになった。


――たしかに小さな頃、
そんなことがあった。
後でママに怒られたから
よく覚えてる。


でもあれは、


「だって、あんなお菓子
見たことなかったから
珍しかったんだもん……」


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