『仰せのままに、お嬢様』《完》
「――――え?」


違うの? それじゃあ、
一体何を笑って……?


疑問の眼差しに、楓さんは
優しく目を細めてこう言う。


「リリカ様は、鴨井様が
お相手ですと少女のように
愛らしいお顔をなさるのだなと。

それを見て、微笑ましく
思っていたのでございます」


「は…………」


一拍の間の後、カァッと
顔が熱くなるのがわかった。


「何言ってるのよ、楓!」


“少女のように愛らしい”って。

聞いてるこっちが、かなり
恥ずかしいんですけど!


だけど楓さんは、あたしの
狼狽なんてこれっぽっちも
気にしてないって顔で続ける。


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