『仰せのままに、お嬢様』《完》
「私は感じたままを口に
しただけでございます。

そして――少しばかり、
羨ましいですね」


「え? 羨ましい?」


ちょっと意外な単語だった
から、思わず目を丸くして
おうむ返しに尋ねてしまった。


その声に、楓さんはハッと
したように一瞬まばたきをして、


「――失礼いたしました。

いつか私にもそのような
笑顔を見せて頂ければと。

少しだけ、そのようなことを
考えただけでございます」


「――楓――…」


今度はあたしがまばたきを
する番だ。


何ていうか――あたしが
知ってる楓さんからは
意外な言葉が連続で出て
きて、正直ちょっとあっけに
とられちゃってる。


_
< 151 / 364 >

この作品をシェア

pagetop