『仰せのままに、お嬢様』《完》
羨ましいとか、あたしの
笑顔を見たいとか。

楓さんって、こんなふうに
自分の“感情”を、いっぱい
口に出す人だったっけ――?


「えーと……」


何だか気恥ずかしい沈黙が
三人を飲み込んで、さて
どうしようってちょっと悩んだ。


だけどその解決策は、
思いがけないところから現れる。


リビングの外、廊下の方が
騒がしくなったと思ったら、
複数の足音がまっすぐに
この部屋に入って来たんだ。


(え…………!?)


思いがけない事態が続いて、
とうとうあたしはガタッと
立ち上がった。


そのあたしにまず声を
かけたのは、パパだ。


「おおよかった。
リリカ、いたな!」


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