『仰せのままに、お嬢様』《完》
見るといつの間にか楓さんが
すぐそばにいて、そっと
あたしの肩に手を添えてる。

――もしかしてあたし、
ホントにフラついてたのかな。


「………ご、ごめん」


楓さんに促されて、あたしは
もう一度椅子に座った。

本当はパパに『どういうこと!?』
って詰め寄りたい気分だった
けど――伯母様と遼人さんの
手前、そこまでも出来ない。


あたしにできたのは、低い
声で一言、尋ねるだけ。


「――どういうことなの?」


パパに向けた問いだったけど、
答えたのは遼人さんだった。


_
< 158 / 364 >

この作品をシェア

pagetop