『仰せのままに、お嬢様』《完》
「ご心配なさらず。
約束をお忘れでございますか?」


(え……約束……?)


もしかしてそれは、
前にした会話のこと?

楓があたしを守る、って――。


「私はあなた様の講師では
ございません。

――私は、執事です」


楓さんは小さな声で――
だけどキッパリと、そう言った。


遼人さんがさっき“講師”
って表現したことを指して
言ってるんだってことは、
すぐに気づく。


でも楓さん。

正直、執事だからって……
あなたに、何ができるの?


不安の眼差しで見つめた
あたしに、楓さんはフッと
口元を緩めて微笑んだ。


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