『仰せのままに、お嬢様』《完》
リビングの入口から突然
凛とした声が響き、ハッと
顔を上げると、そこには
楓さんの姿があった。


「楓っ………」


「遅くなり申し訳ござい
ませんでした、リリカ様。

朝食の後、早見様の所用で
遣いに出ておりまして……」


あたしのそばまで来ると、
そう言って深々と頭を
下げる楓さん。


別に謝ることじゃない。

朝食の時間とその後一時間
ほどは、楓さんは自由行動だ。

その間に彼も食事をするし、
あたしの健康管理のために
ディナーのメニューを朝子
さんと話し合ったり、時には
自ら買い出しに行ったりも
してくれてる。


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