『仰せのままに、お嬢様』《完》
「執事がついて来るだって?

なんでだよ、デートなんだぞ」


「いいえ。香奈枝様との
お約束に、久賀様が
“同行”されるのでは?

ご友人との外出もレッスンの
一環です。当初より、私も
同行する所存でございました」


「なっ………」


口から出まかせの約束だって
いうのに、楓さんは当然の
ような顔をしてそう言い切った。

そしてパッとあたしを見て、


「リリカ様、異存は
ございますか?」


「え? あ――ないない、
全然ないよ!」


不安はあるけど、楓さんを
信じてみよう。

あたしはブンブン首を縦に
振った。


楓さんは頷いて、


「――ということです。

いかがなさいますか、久賀様?」


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