『仰せのままに、お嬢様』《完》
一瞬の沈黙。

だけどやがて、チッと舌打ち
しながらも、遼人さんは
諦めたようで、


「――わかったよ。

けど君、出しゃばるなよ」


「私は私の務めを
果たすだけでございます」



―――こうして、まさかの
展開で話はまとまってしまった。


一緒にリビングを出た後、
楓さんは少しだけ表情を
緩めて言う。


「香奈枝様には私からきちんと
ご説明致しますので、
ご安心下さい」


「うん……。
でも大丈夫かな……」


あたし、香奈枝、遼人さん、
楓さんの四人で外出?

どうなるんだろ?
突拍子がなさすぎて想像も
つかない。


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