『仰せのままに、お嬢様』《完》
「次があってからでは――…!」


言いかけて、でも楓さんは
言葉の続きを飲み込んだ。

そして、心を落ち着けようと
するように細く静かに息を
吐いた後、


「申し訳ございません。
少々厳しい言い方を致しました。

お許し下さい」


「……ううん、いいの。
ホントにゴメンね。

あたしも、もっと気をつける」


「はい。お願い致します」


お互い謝って、その話は
そこで一旦落ち着いた。


香奈枝が『気にするな』と
いうようにポンとあたしの
肩を叩く。


ぎこちなく笑って返すと、
香奈枝は『そういえば』と
人差し指を立てて、


「あたし思ったんだけどさ。

今回の件、遼人さんが
怪しくない?」


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