『仰せのままに、お嬢様』《完》
「それで人を雇い、リリカ
様の周囲を探らせている、
ということですか?」


楓さんの問いに、香奈枝は
ウンと頷いて、


「そう! あの人なら金に
物言わせてやったって
おかしくなさそうじゃん」


「で、でも……」


たしかに、遼人さんが楓さんを
疎ましく思ってるのは
間違いない。

でもだからって、そんな
ことまでするかな?


それに、


「でも、美術館で不審な
人を見た時は遼人さんも
一緒にいたのよ?

『リリカちゃんを付け狙う
奴は許さない』とか言って
たし……」


「んなのカモフラージュでしょ。

自分を容疑者から外すためよ」


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