『仰せのままに、お嬢様』《完》
あたしってダメだな。
本当に――そこまで心配
してくれた楓さんに、今も
また心配かけちゃって。
「ゴメンね。
心配かけて、職務違反も
させちゃって。
あたしのせいなんだもん、
楓は少しも悪くないよ」
「いえ。それはもう
構わないのでございます。
あの瞬間に、そのような
ことは全く頭から消えて
おりました」
静かに言葉を紡ぎながら、
楓さんはそっと両手をあげた。
何をするのかと思ったら、
布団の端からスッと手を
滑り込ませ――そして、
布団の中であたしの右手をとる。
あたしの掌は、暖かい
楓さんの両掌に包まれてた。
_
本当に――そこまで心配
してくれた楓さんに、今も
また心配かけちゃって。
「ゴメンね。
心配かけて、職務違反も
させちゃって。
あたしのせいなんだもん、
楓は少しも悪くないよ」
「いえ。それはもう
構わないのでございます。
あの瞬間に、そのような
ことは全く頭から消えて
おりました」
静かに言葉を紡ぎながら、
楓さんはそっと両手をあげた。
何をするのかと思ったら、
布団の端からスッと手を
滑り込ませ――そして、
布団の中であたしの右手をとる。
あたしの掌は、暖かい
楓さんの両掌に包まれてた。
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