『仰せのままに、お嬢様』《完》
「心の病――?」


「はい。ご身内以外とは
会話が出来ず、終始自室に
こもって生活をされている
状態でございました」


「そう、なんだ……」


日本の言葉で言えば、引き
こもりという状態なんだろうか。

まだ、たった10歳の少年なのに。


(楓さんの最初の仕事場は、
そんなに大変なところ
だったんだ……)


「ですが私は、それを承知の
うえで勤めることを決意
しておりました。

前任の執事は、長らく
仕えていたにも関わらず、
一家が衰退すると自ら暇を
願ったそうです。

ふがいない執事のために
不自由をされている一家を
お助けし、少しでも平穏な
生活を取り戻して
頂ければと思い……」


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