『仰せのままに、お嬢様』《完》
「……誰も、
助からなかったの……?」


「……はい。酷い事故で、
皆様即死だったとのことです。

その事故で、一家は余命
短い大旦那様一人となり、
実質一族は没落いたしました。

大旦那様も心痛でさらに
臥せられたため、入院を
余儀なくされ……」


『そうして私は、
お仕えする主を失いました』


楓さんのそんな痛々しい
声を、あたしはとても
まともに聞いてられなかった。

気づけばいつの間にか、
頬は涙で濡れてる。


楓さんはそれを見て、少し
慌てたように手を伸ばし、
あたしの涙を拭いながら、


「申し訳ございません。

お疲れのリリカ様に、
このようなお話を……」


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