『仰せのままに、お嬢様』《完》
真っすぐに瞳を見つめて
問いかけたら、楓さんは
迷うことなく即座に頷いた。


「もちろんでございます」


「――うん。ありがとう」


自然と、微笑みがこぼれる。


笑いながら、あたしは
続けてこう言った。


「ねぇ。これからは楓の
こと、楓って呼ぶね」


「は―――?」


楓さんは当然、困った顔だ。


「どういうことで
ございましょう?

以前から、楓とお呼び
下さっていると存じますが」


「うん。そうなんだけど。

今のは、あたしの中での話なの」


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