『仰せのままに、お嬢様』《完》

｢大丈夫だよ。

そうやって世界を広げて
くれる人が側にいれば、
男への苦手意識なんて
いずれなくなるさ｣


｢―――う、うん｣


｢楓さんは、さしずめ君を
守るナイトだな。

しかも、相当頼もしい｣


｢……幹生君、楓のこと
褒めすぎ……｣


あたしの方が恥ずかしくて、
さっきからポッポと顔が熱い。


その顔を見て、幹生君は
呑気にハハハと笑って、


｢いいじゃないか。

リリカちゃんがあんな
いい人に出会えて、僕も
嬉しいんだよ。

――と、噂をすれば――…｣


｢――――え？｣


幹生君があたしの背後に
目を向けてるのに気づいて、
あたしも振り返る。


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