『仰せのままに、お嬢様』《完》
「本当にどうして……。

楓さん、“ちょっとした
野暮用”って言ってたん
ですよ……」


朝子さんも、沈痛な顔で
言って窓の外に目をやる。


あたしはもう我慢できず、
金切り声で叫んだ。


「じゃあ今夜は何も出来ないの!?

楓が黙っていなくなるなんて
ありえないじゃない!

今までこんなこと、一度
だってなかったのに!!」


そう……ありえない。

楓が自分の意志で、こんな
ふうに姿をくらますはず
なんてないんだ。

だって彼はあたしの執事。
いつだってあたしの側に
いるって、何度も言って
くれてたのに。


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