『仰せのままに、お嬢様』《完》
「でも、今日出かける前、
楓と遼人さんは二人で何か
話してたんだよ。

楓がいなくなったのはその後。
おかしいじゃない!」


今のあたしには、遼人さんが
何かしたんじゃって疑惑が
渦巻いてる。


二人きりで話をして、遼人
さんはあたしやママに
挨拶もせず帰っていった。


絶対におかしいのに――
あの時、もっと詳しく楓から
事情を聞いてればよかった――!


ギリッと奥歯を噛んで、
高ぶる心を懸命に抑えた。


――今さら後悔したって、
何にもならない。


(考えなきゃ。どうするのが、
一番いいのか)


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