『仰せのままに、お嬢様』《完》
それでも全力疾走で二人の
背中を追いながら、あたしは
考えてた。


あたしを探ってた人が、
今度はあたしを見て逃げた。

それはきっと、やましい
ことがあるからだ。


(やっぱりあの人が楓を?

そしてそれを操ってるのは、
やっぱり遼人さんなの……!?)


真相はまだわからない。
でも、あの人が楓が消えた
ことに関与してるのは
間違いない気がする。

根拠なんてないけれど、
あたしの中に確信めいた
予感がある。


(絶対、あの人をつかまえ
なくちゃ……!)


ギュッと拳を握りしめた。


その思いが通じたかのように、
信じられない駿足を見せる
幹生君が、グングンと逃亡者
との距離を詰めていく。


_
< 296 / 364 >

この作品をシェア

pagetop