『仰せのままに、お嬢様』《完》
そしてやがて、段々と
あたしとの距離も縮まってきた。


あたしは足は決して速くない。


ということは、あの逃亡者の
スピードが落ちてる――?


「あっ!」


あたしと幹生君が同時に叫んだ。

逃亡者が、足をもつれさせて
ふらついたんだ。


「よしっ……!」


ここぞとばかりに最後の
ダッシュをする幹生君。


一秒後には、彼は逃亡者に
タックルをくらわせてた。

二人はもつれて、転がる
ように路上に倒れ込む――…。


「捕まえたぞ! 
こら、おとなしくしろ!」


幹生君が大声を張り上げた
けど、言うまでもなく、
相手はわめいても暴れても
いなかった。


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