『仰せのままに、お嬢様』《完》
でもサングラスの下の素顔は、
明らかに日本人じゃなかった。


高い鼻に骨張った頬、そして
何より、水晶のように
綺麗な青い目。

髪こそブロンドじゃない
けれど、間違いなく西洋人の、
40代前後の男の人だ。


「え? うーん……
ハウドゥーユードゥ?

――それも変か。

おい、お前は誰なんだっ!?」


叫んだ幹生君に、綺麗な
日本語で声が返る。


「誰なんだはもういい。

もういいから、み、水を――…」


「えっ?」


呆気にとられてしまった
けれど、見ると外人さんは
どうやら本気で苦しいらしい。

さっきから、ゼェハァいう
呼吸が少しも収まってない。


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