『仰せのままに、お嬢様』《完》
ほわりと、胸いっぱいに
あったかな安堵が広がっていく。


「当たり前だよ!

楓、これからもずっと
うちにいて?

男嫌い克服とか関係無しに、
ずっとずっとあたしの
執事でいてほしい」


「リリカ様――…」


楓の綺麗な顔にも、見る間に
柔らかな笑みが広がった。


あたしが今まで見た中で
一番嬉しそうな、とびきりの
笑顔。

その顔で、楓はしっかりと
頷き、そして答える。


「仰せのままに。私はこれ
からも、我が最愛のお嬢様の
もとでお仕えいたしましょう」


そして、一度離れた腕を
伸ばして。

もう一度、強くあたしを
抱きしめ――今度はおでこに
軽くキスをした。


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