『仰せのままに、お嬢様』《完》
「楓…………!」


もう何度目かになる『お許し
下さい』を口にする楓。


だけどあたしは、許すどころか
ものすごく嬉しかった。


だってあたしは、執事じゃ
なくても一緒にいたいって
思ってたんだもん。


あたしと楓の気持ちは、
本当に一緒なんだ。


そう思ったら、どうしても
もう一度言いたくなった。

だからあたしは、初めて
自分からも楓の背中に両腕を
まわして言った。


「楓………大好きっ」


恋とか愛とか、あたしには
まだまだ難しいけど。

でもこれだけは、間違いない。


「リリカ様――…」


引き寄せられるように、
楓の瞳が近づく。


_
< 358 / 364 >

この作品をシェア

pagetop