『仰せのままに、お嬢様』《完》
――まあ、あたしはとても
楓さんのように、爽やかに
挨拶する気分じゃないけど。


「……いかがなさいました?
顔色がすぐれぬようで
ございますが。

あまりお眠りに
ならなかったのですか?」


「……そんなことはないです」


眠りましたよ。疲れ果てて、
泥のように。

でも、新たな疲れの原因が
今お部屋に来ちゃいました。


「さようでございますか。

私も非常に快適な個室を
与えて頂き、安らかな夜を
過ごさせて頂きました。

早見様の料理の腕も
素晴らしいですね」


「そうですか……」


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