『仰せのままに、お嬢様』《完》
「……大丈夫です」


はぁ。これからこの人と
二人きりで車に乗って、
大学まで行かなきゃ
いけないんだ。

同じ都内だし、多分30分も
かからない道のりだとは思う。
でも時間なんて関係なく、
気が重いなぁ。


『かしこまりました。
下でお待ちしております』
と楓さんが出ていってから、
あたしは大きなため息をついた。


嫌だけど……でも、時間は
待ってくれない。


15分なんてあっという間に
過ぎて、あたしはバッグを
持って渋々部屋を出た。


そうだろうなと思ってた
けど、玄関先に停まってた
車は、黒塗りのリムジン。


_
< 58 / 364 >

この作品をシェア

pagetop