『仰せのままに、お嬢様』《完》
パパが複数所有する高級車の
うちの一台で、移動でよく
使うのは、たいていこれなんだ。


「こちらの車を、今後は
私専用にしてよいとのことです」


「はぁ。あの、本当に近くの
通りまでにして下さいね?」


「その点は承知しております。
仰せのままにいたしましょう」


恭しく頭を下げて後部席の
ドアを開けてくれる楓さんを
横目で見て、もそもそと
乗り込む。


静かにドアを閉めると、
彼もすぐに運転席に乗り込んだ。


パパは仕事でもう出かけてた
けど、専業主婦(というか
家にいるだけ?)のママと
朝子さんが、『いって
らっしゃーい!』と送り出す
なか、走り出す車……。


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