優等生が惚れた女




廊下で夕陽と次の教室へと向かう。


すると突然、目の前に



「あれ?? アイツ、片瀬じゃね??」


夕陽の言葉に反応し、あたしも遠くを見つめる。


かすかに見える片瀬君。



ちょうどあたし達を見てるみたい。


「おい、ちょっと、」


と片瀬君自らが手招きをするみたい。


あ、夕陽を呼んでるのかも。


「夕陽、あたし先行ってるから、片瀬君と話して来て。」


そそくさと小走りで抜け出そうとするあたしを夕陽が突然呼び止めた。



「待って。片瀬が呼んでるのはあたしじゃなくて密の方だよ。」


えっ? あたし??



あたしは片瀬君の方を見る。

「歩多羽、ちょっと来て。」


本当だ、あたしを呼んでる。


「じゃあ密、あたし先行ってるから、片瀬と話して来てね☆」


ばいばーい。と手を振りながら去っていく夕陽。



あたし、片瀬君になんかしちゃったかな…??


あまり接点がないんだけど…。



強いて言うなら、朝、片瀬君にクスッと笑われたくらい…。


あたし何か不愉快な事しちゃったっけ!!??


妙な冷や汗をかきながら、恐る恐る片瀬君の方へと歩いていく。




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