優等生が惚れた女
片瀬君に近づいて行くに連れて、なぜだか緊張感が体にくる。
「どどどど、どうかしましたか??」
「ど多い。」
低い声で突っ込まれてしまうと、怒られてるみたいで「すみません」と謝ってしまった。
やっぱりこの人苦手……
「で…ご用件は何でしょうか…??」
あのさ、と首筋に手を添える片瀬君。
いちいち行動が格好いい。
「アイツ知らねぇ??」
あいつ…
あいつとは誰を示すんだ??
「あの、不良の中井。」
「な、中井君……ですか??」
意外な人物!!
まさかの中井君!!
ていうか…中井君、あの授業の後、全く見てない気がする。
「いや…ちょっと分かりませんね。」
本当にどこに行っちゃったんだろう…??
「なんだよアイツ…。CD貸せって言いやがったくせに。」
チッと舌打ちをしながら手元にあるCDを見つめる片瀬君。