優等生が惚れた女
その後も片瀬君の話を聞きながら帰り道に着くと、片瀬君が足を止めた。
「俺、家ココだわ。」
片瀬君が人差し指で差す方向にあたしも目を向ける。
「ありえない…。」
なんで…こう…神は片瀬君に二物も三物も与えてしまうのか…。
あたしの視界に入ったのは超の付く豪邸。
「これは…一体…なんで…」
開いた口がふさがらないとはこの事なんだね。
「叔父が、社長なんだよ。勝手に家を建てちまった。」
おじいさんが…社長…。
ありえない。
「片瀬君って色々と最強ですね。 尊敬します。」
本当…とてもじゃないけど。
ありえない。
「別に尊敬される程の人間じゃないから。」
いや、今さら謙遜されても…
「まぁ、そう言う事だから。歩多羽の家は??遠いの??」
「あ、すぐ近くですよ。」
あたしの答えに対して「送ろうか??」と片瀬君は言ってきたけれど
放課後には勉強も教えてもらったし。
これ以上迷惑はかけられないので断った。
「じゃあ、またな。」
「はい、今日は色々とありがとうございました」
深々とお礼をしたら、片瀬君は笑って手を振ってくれた。