優等生が惚れた女
それに、2人がとてもいい人だという事も気が付いた。
ちょっと意地悪だけれど、気軽に話せるし、睨まれる事だってない。
普通の会話がとても楽しく聞こえて、新鮮だった。
とても楽しかったなぁ……
と1人で余韻に浸っていると、玄関からドアの開く音がした。
「ただいま〜」
あたしはその声に振り向く。
この声はきっとお母さんではなく弟の健だ。
「お帰り。今日早かったね。部活なかったの?」
あたしの質問に健は無愛想に答えた。
「あぁ、今日は部活なし。 だから早く帰れたから姉貴の彼氏を見ることが出来た。」
冷蔵庫の中の麦茶を飲みながら言う健。
あたしの脳内でリピートされる
彼氏
「……彼氏?」
柄にもなく、眉間にシワを寄せてしまう。
「あたし、彼氏なんかいないけど。」
「さっき見た。姉貴が男といたの」
男?
一番最後に話した人って…
「片瀬綾人。」
そう片瀬君だ。