優等生が惚れた女
猛スピードで走るものの、息切れで酸素が減っていく。
「はぁ…はぁ……」
このままだと死んでしまう…。
と思ったとき
「朝から大変だな。」
後ろから声がした。
なぜだか分からないけれど、ドクドク脈拍が速くなった気がする。
「か、片瀬君っ」
後ろを振り返ってみると、涼しい顔をした片瀬君がいた。
まさか、朝イチでこんな人に会えるとは…
ちょっとラッキーかもしれない。
「遅刻?」
あたしの隣に来て、笑いながら聞いてくる。
「見ればわかるじゃないですか。今、寝坊したんです。」
「だろうね。髪、はねてるし。」
クスッと笑いながら、あたしの髪が片瀬君の指に絡まった。
「……!!」
身体中の神経が毛先に集中している。
とてもじゃないけれど…。
違う意味で死んでしまう。