優等生が惚れた女
確かに、こんな人がいたら冷たい態度とられても諦められないよね。
一目見ただけで女の子を魅了してしまう容姿は、学校内の域を越えて、他校にも知れ渡っているとか。
そんな人、誰だって憧れる存在。
それならあたしにだってわかる。
「――…ねぇ、片瀬君は好きな人とかいないの???」
「…いない」
「じゃあ……タイプとかは??」
「……。」
「じゃあ、嫌いなタイプとかいる???」
一人の女の子が問いかけた質問に対して、片瀬君がいきなり顔を上げた。
…!!!
い、今
ずっと後ろで野次馬のように前にいるのではなく、ただ机で頬杖を突いていたあたしが、片瀬君と目が合ってしまった。
すごい…。
こうして見てみると、もう学校内で一目置かれる存在なのかがよくわかる。
左右対称の顔立ちと風になびく黒髪、笑った所を見た事ないけれど、凄く綺麗に笑うんだろうなぁ…。
「……綺麗な顔」
「……??」
思わず出てきてしまったこの言葉。
ど、どうしよう!!
あたし…あの人に向かって当たり前の事言っちゃったよね!?
あたふたし始めたあたし、とにかくこの状況から抜け出したいため、両手を合わせて「ごめんなさい」。
すると、片瀬君は「ふっ」吹いてと笑った。
嘘…今笑ったよね???