優等生が惚れた女
「でも…中井君は皆から見て怖がられてるんですか?」
あたしが中井君にそう聞くと、中井君はキョトンとした目であたしを見る。
「……俺を見て怖いって思わないのは、綾人とお前くらいだけど。」
確かに。言われてみれば、あまり中井君が怖いって思わない。
まぁ…なんでそんな朝からしかめっ面なの?って思うことはよくある。
でも、それが怖いとは思わない。
「ヤンキーだからって怖いとは限らないじゃないですか。」
「……。」
何も言わない中井君。
どうやら納得していない様子だ。
怒り方にちょっと手違いがあると思うけれど、今回は中井君に感謝だね。
「助けてくれてありがとう。」
笑って言ったけれど返事がない。
むしろ、外方を向いてしまった。
だけど
「……別にお前の為じゃねぇし。」
なんだか
無性に笑顔になった。