優等生が惚れた女
一時間の授業が終わった後は、移動教室のため、夕陽の所へと向かった。
「夕陽、行こ。」
あたしが誘い出すと、うん、と言って立ち上がる。
「さっき授業中さぁ、めちゃくちゃ中井君と良い雰囲気だったよね〜。」
とニヤニヤしながらあたしを見る夕陽。
良い雰囲気だったと言うか……
あたしが惨めな思いをした感じなんだけど…。
「たいした会話じゃないから。」
馬鹿って言われました。なんて言いたくない…。
すると、夕陽が、えぇ?? ホントに?? なんて事を言ってきた。
「このままいい感じになるんじゃないの??」
えぇ?? 何それ!!
中井君と、あたしが!?
「絶対に無いでしょ??」
「いやぁ?? 世の中何があるか分からないからね。中井君って、ヤンキーだけどかなりモテるらしいし。」
あ、モテるんだ。
「だから頑張りなよ〜!!」
「もう!! そんなんじゃ無いってば!!」
まぁ、確かに最初の印象とは打って変わって、とても接しやすい人だった。
人って見掛けによらずとかあるものなんだ。