狼様の愛のカタチ理論
あ、味見?
そう言われれば、さっきも美味しそうとか言っていた
なんの事を言ってるの?
「えっと…」
「君もいいでしょ?痛くしないから」
「………?」
そう言うなり、その白く細い綺麗な手が私に向かってのびてくる
な、なに。なんだか凄く嫌な感じ。危ない、この神様、そう私の本能が言っていて…
「…あ…す、すみません…じゃあ、行きますのでっ」
再び頭をさげて、呉羽さんから逃げるように私は急いでその場から走った―…
―――――……
「…あーあ、逃げられた」
沙優が逃げたあと、呉羽からそんな台詞がこぼれた
「ねぇ、扇李。本当に、あんな美味しそうな子、どこで見つけたの?」
「…………」
そう言い、呉羽が扇李をみるとお互いの殺意がぶつかりあう
「要らなくなったら、あとでちょうだいよ」
「………」
「ね?扇李」
呉羽の台詞に、扇李は少し間をおいてからふっと笑みをこぼした
「そのうちにな、今は無理だが」
「全然、ありがと。扇李」
そんな会話が行われていたなんて、私には分からなかった―…
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