狼様の愛のカタチ理論
でも、それを出来なかったのは…私は人間で無力だから…
「……っ」
溢れそうな涙を必死に押さえて、ただ前を向いて草原を下っていた時だった―…
ヴゥ―…
「……………え」
突然聞こえてきた鳴き声に脚をとめると、ドクンと嫌な音が響き、同時に頭にも嫌な想像が浮かぶ
も、もしかして…
「……っ!」
ギュと唇を噛み締めて後ろを振り向くと、その想像が現実になる
「なんでっ」
私の背後には、キバを剥き出して私を睨みつける3頭のトラがいた―…
なんで…いるの?
まさか、右汰が…!?
ドクン、ドクンと鼓動が早く加速してくる
そんな、そんなの…っ
「右汰は?!右汰はどうしたの!?」
私なんかが、トラにそんな事を言ったって理解なんかしてくれないだろう。ううん、理解出来たとしても、それを教えてくれるわけがない
そんなのわかってるけど!
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