狼様の愛のカタチ理論








私に追い付いたってことは、絶対に何かが起こったに違いない




「…っ!」


必死で叫ぶ私をトラ達は長く見つめ、真ん中にいるトラが私に姿勢をひくくして近付いてくる




猫が獲物を捕らえるような体制


「……っ」



隙があれば、飛び付いて…命を奪われる


「…っ」


逃げたい、逃げたいけど。私の頭は右汰の事でいっぱいで…



「教えてっ!右汰は…っ!?」






"大丈夫なの?"そう言いかけると同時に、一瞬にして目の前が暗くなり



トラが私に勢いよく飛び付いてきたのがわかった



「!?」


自分の身体の倍はある体


あ!もう、だめっ!!




ギュウと目をつぶり、迫りくる恐怖に身体がビクッついた時…











「え…?」



スッと、私の横を何かがすり抜けて、それが私を守るようにトラに体当たりをして地面に叩きつけられたトラがそれを睨みつける




いや、"何か"じゃない。何なんてすぐに分かった


あれは…













「狼さん…?」



私の前に立ち、トラ達に威嚇するようにキバをむき出す狼


赤と黒の狼。今日初めて出会った狼だ―…




< 194 / 550 >

この作品をシェア

pagetop