狼様の愛のカタチ理論
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三日月が空高く登った深夜
ある部屋に長く綺麗な赤髪を揺らしながら、ドアをあける男がいた
「右汰の様子はどうだ…」
「…扇李」
男が部屋に入るなり、その姿をみて慌てて立ち上がり軽く頭をさげて静かに口を開く
「まだ、目を開けません。熱はひいては呼吸も安定はしてきたのですが…」
「そうか」
頷き、扇李は右汰に近寄りベッドに座ると少し睨むような目をしながら左汰をみる
「ところで、沙優にキツイことを言ったな。お前らしくない」
「……え」
なんのこと?そう言いたそうな顔をしたが、すぐに扇李の言った事を理解したのか、勢いよく頭を下げる
「それは、申し訳ありません」
「いや、別によい。言わなければならないことだ」
「…扇李」
「悩んでいた…そうとう左汰に言われたのが堪えたんだろう」
「…それは」
ゴクリと生唾を飲み込み、左汰は扇李を見据える
「沙優様は、優し過ぎるのです!」
「…あぁ」
「ですから、あー言わないと「分かっている」」
「………」
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