狼様の愛のカタチ理論
私が今こうしてられるのは、扇李のおかげだから
「はい、良かったです」
「そうですか、そう言っていただけるなら、扇李も喜びます」
私をみながら言うと、今度は唐突に私に手を差し出してくる
「………え?」
なに?
「怪我の手当てを。昨日は重症な右汰に気がいきすぎて沙優様の手当てをしなかったので」
て、手当てだなんて…
「私はいいです!それに右汰が守ってくれたので、そんな手当てをするような怪我はしてません」
したとしても、走った時に出来たかすり傷程度だ
そんなの、自然にだって治るし…
「いえ、いけません。傷をなめてはいけないんです。それに、手当ては扇李に言われた事でもありますので」
「へ?…扇李に?」
扇李がサイさんにそんなことを言ったの?
だ、だけど…
「わたし、本当にたいした怪我は…してないですよ」
肌が出てる脚や腕をみてもかすり傷はあるもの、たいしたものじゃない
「いえ、そこではなくて…扇李は二の腕だと言っていました」
二の腕?
なんで、そんなとこを?疑問が頭に浮かんで、服を肩まであげて二の腕をみると、10センチほどの少し深い傷が沢山ある
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