狼様の愛のカタチ理論





「…扇李」


その至近距離で名前を呼ぶと、扇李は首筋から顔をはなして不機嫌な顔で私をみつめる



「…?」


「誰が妬くか。この抜け女」



「………ぇ」


ギュと私の鼻をつまみ、私から勢いよく離れて扇李は再び木の根元に座り本を開いて、一切私をみない


「…」


嘘ばっかり、絶対に妬いてたんだ


だって、扇李の顔が…微かに赤いんだもん…





そんな顔をみたら、なんか私も恥ずかしくて仕方がない


ドキドキと鳴る心臓のまま自分の腕の服をかぐと、少しだけ扇李の香りがして



もっと、扇李の香りを感じたくて…












「ごめん、ごめん。冗談だから」


思ってもない事を言いながら扇李の隣りに座ると、そのまま何も言わずに引き寄せられてしまう



最近思う。扇李はこーやって肩を抱いて引き寄せるのが好きなんじゃないかって



なんて言う私も、こうするのは結構好き…


あの、パーティーの時の最初は嫌だったけど



こうすると、扇李の不器用な優しさがなんか伝わるから…



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