狼様の愛のカタチ理論





「………」


誰もいなくなった庭に、ポタッ、ポタッと空から静かに雨が降ってきて…


ただ、私は…溢れる涙を流しながらそこから動けない


扇李は…私を見てくれなかった…


どうして…扇李…

黒幕って、呉羽さんや未来さんに言われても


信じたのに…

なんで、扇李は私を信じて…くれないの?


















もう…私の頭の中は空っぽだ


ただ、止まることを知らない涙が次々に頬をつたい…私の身体も心もすべてを濡らしていく




泣かないって決めた


覚悟して、扇李の花嫁になった。無理矢理抱かれても周りからイヤな事を言われても


今まで…我慢してきた…

みんなを守りたい、その思いだけで……


私は何十日も、何も知らない、人間なんて私しかいないこの空間で頑張って来た



自分自身が決めた道だから…後悔なんてなかった











なのに………



「どうし…よう…っ」




息も出来ないくらいの苦しさに、頭に施設の皆や院長様の顔が走馬灯のようによみがえる





< 357 / 550 >

この作品をシェア

pagetop