狼様の愛のカタチ理論
帰りたい
―――――……
ただ、わたしは走った
雨の降るなか、まわりの神様達がチラチラと見て
後ろ指を刺されながらも通り抜け
私は無我夢中に宮殿を抜けて走った
"帰りたい、施設"
そう頭が支配されて、無意識に走ってついた場所は……
私がサイさんに連れて来られた場所だ―…
「…みんなっ」
冷たい水を浴びながら、祠の前に行くと、その扉は固く閉ざされてる
「帰りたいよ…お願いだからっ」
帰れる手がかり、それはここしかない
だから、お願いだから…
「開いてよ…っ」
どうやって帰るなんて分からない
だけど、もうこの世界になんか居たくないんだ
「……うっ」
たった一つの手掛かり、なのに…
何も反応しない、祠に私の胸は寂しくなる
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