狼様の愛のカタチ理論



は、はは


笑えるよ…本当に

嫌みのひとつも彼にはつうじない。神様なんて、いや、扇李なんて最低だ


私に好きでもない者の子供を産め…だなんて



「まぁ、そんな事は今はどうでもいい」


色々な事を考える私を無視してそう言うと、彼は私から離れて壁に寄りかかる


角度のせいか扇李の赤い髪が月明かりに照らされ輝く


「沙優よ、今からお前は俺の花嫁だ」

「……」


そう言い私に向かって左手を差し出す


「手を取れ、これが俺達の契約であり花嫁になることを了承する儀式だ」


「………っ」

この手をとれば、私は彼の花嫁になってしまう



それは、覚悟をしたことだ。

こうなったら、守ってくれるなら…花嫁にだってなる!嫌だけど子供だって産んでやる



そう、割りきればいい…だから迷いなんてないのに、この手を取る勇気がないっ



「…なにを恐れる」

「恐れてなんかっ」

「花嫁になったとしても、お前を乱暴に扱うつもりはない。すぐに子供を産めなんて言わない」


「………」


次々に私に言葉をかけるが、ただ黙る私にため息をついて私の前にしゃがみこみそっと肩を抱きながら再び左手を差し出した



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