狼様の愛のカタチ理論
「…せ…りっ」
苦しくて、息も出来ないくらいの抱擁の後に扇李はそっと私の後頭部に触れて数回撫でると
ゆっくりと口を開く…
「沙優の心が…こんなに苦しんでるのは…我のせいか」
「……ぇ?」
「感じる…お前の痛みが…」
「………あっ」
チュと頭に唇を落として、扇李は私をそっと引き離した
「わかった」
「…っ」
「もう、お前には優しくなどしない。名前も呼ばぬ…必要以外、お前の前には現れぬ」
「………あ」
「お前がそれを望むなら、我はそうする。だから、お前は忘れろ」
「………っ」
「今の事も我への思いを…全部だ。そして、出会ったばかりのように…嫌いになれ」
「…扇李っ」
「やめろ」
「え?」
「お前も我の名を呼ぶな」
吐き捨てるように言い、扇李はベッドから降りるとドアに向かって歩いていく
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