狼様の愛のカタチ理論
だって、だって…
扇李があんな、あんな
あんなキスをしたから…っ
「……っ」
唇に触れればまだ扇李の熱が残ってる
今まで唇にキスなんか、絶対にしなかったくせに…扇李がキスなんかして
抱きしめて、あんな瞳で私をみるから…っ
「ば…かっ」
忘れるどころか…身体に扇李の感覚が絡み付いて
「…忘れ、られないよっ」
無理だよ…っ!
なんでキスなんかするのよ
狡いよ!扇李はずるい…最後の最後までずるい
キスなんか、して欲しくなかった。しなかったら、こんなに胸は痛くない…のにっ
「…ばかっ!」
枕を掴み投げやりにそれを投げると、むなしさばかりが私の心を攻めて
「…扇…李っ」
呼ぶな、そう言われた名前を呼ぶと
また涙が私の頬を伝って行った――…
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