狼様の愛のカタチ理論
「辛い…と」
「…あ」
「胸が痛いと」
左汰の言うことに、私は反射的にうつむいてしまう
「沙優様は…好きになってた…と言いました。それは、天界に来たばかりのころは扇李を愛していなかったんですか?」
「本来なら、人間を花嫁にする時はお互いを思いあっているのが掟なんだ…お互いを思いあい、扇李が神であることを納得して、初めて印を刻み花嫁にする。それが神間の掟として存在してるんだ」
「……………」
「お前たちは、そうじゃなかったのか?」
否定して欲しい、そんな目で見つめられるけど…
私は右汰と左汰の期待に答えられなかった
だって…確かに私がここに来たのは扇李を愛していたからじゃない
大切なものを守りたかったんだ
印も扇李が刻んだんじゃない、昔から存在していて、それを都合よく扇李がみつけて交換条件で花嫁になったにすぎない
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