狼様の愛のカタチ理論





「沙優…」

「……っ」

聞こえるか、聞こえないような声で"大丈夫か?"と問われ…

ドクンと鳴る胸を抑えながら、右汰に小さく頷くと彼は私の前に出てゴホンと咳払いをした


「あー…サイさん…すみません」

「?」

「その、彼女は少し疲れてるので、そろそろ入浴させたいんですが…」


「え?あ、あぁ…これは失礼。では、ごゆっくりどうぞ」


私達に向かって頭をさげ、右汰と左汰に続いてお風呂場に向かおうと扇李の横を通った時だった―…











ガシッ―…


「!?」


突然伸びて来た手に、力強く腕を捕まれ


その主をみると、怒りを含んだ顔の扇李が私を見つめていた…


え…


「な、なに…か…っ」


いきなりの行為に、驚くのと同時に怖いくらいの視線に、身体が金縛りにあったように動かない


「扇李?どうなさいました?」


「………」


サイさんも不自然そうに扇李を見つめると


「サイ、あとの公務はお前に任せる。我はコイツに話がある」

「…えっ?」


そこにいた誰もが、そう思っただろう

だけど反論出来る者なんて存在しなくて…


「あ…っ」


グイっと腕を引かれて、無理矢理わたしは扇李に連れられてしまった――…




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