狼様の愛のカタチ理論



え…?歌?


「……っ」

言われれば、鼻唄のような声が聞こえた覚えがある


あれが…求愛だったの?


「…身に覚えがあるか」

「あ…っ」

「もう一度だけ聞く、なぜそんなことをする」

「…っ」

「なぜ呉羽とだ?なぜ、そのような話しになった?答えろ」


呼吸することさえ許さない、そう扇李の声やオーラが私を威圧して…

怖い、怖いけど…呉羽さんのことは言えない


絶対に!言ってしまえば…扇李に嫌われる


扇李の本当の気持ちを知りたいから…なんて

バレたくなくて…


「い…言いたく…ないっ」


震える声で答えると、明らかに扇李の顔が更に不機嫌になり


「なら、お前の心に聞くからいい…」

「っ!?」


首筋にある手で私の頬をつつみ扇李の額が近づいてくる

「…あっ」

い、いやだ!


あれをされたら…全部…扇李に知られてしまう


「…やっ…だ」


悟られるわけにはいかない!絶対に!だからっ

「離して…っ」


震える手で必死に扇李と距離を取ろうと力を込めてもびくともしなくて…


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