狼様の愛のカタチ理論






もう、院長様の姿を見ることは出来ないけど、最後に声を聞けて幸せでした…



「もう、大丈夫です…」


「そう」

「本当に、夜遅くにすみませんでした。明日は気をつけて帰って来てください」


私は、院長様が帰ってくるときにはいないけど、せめて無事を祈りたい


「えぇ、沙優も早く寝なさいね」


「……はい」

「それじゃあ、おやすみ」


「おやすみな、さい」


そう言って、ガチャと音がして受話器からはプー、プー、プーと音がする


「…………」


その規則正しくなる音を聞いて、私はそっと受話器をおいた


院長様…最後に声を聞けて良かったです。


最後の最後まで励ましてもらって、私ってば情けないな…



だけど…本当にありがとうございました…院長様


わたし、扇李の花嫁になってここを守ります、そして皆を…



「…よし」


迎えがくるまで、あと少ししかない


それまでに、やりたい事をやって置こう…


バチっと自分の頬を強く叩き、私は気合いをきれたのであった







.
< 45 / 550 >

この作品をシェア

pagetop