狼様の愛のカタチ理論
もう、院長様の姿を見ることは出来ないけど、最後に声を聞けて幸せでした…
「もう、大丈夫です…」
「そう」
「本当に、夜遅くにすみませんでした。明日は気をつけて帰って来てください」
私は、院長様が帰ってくるときにはいないけど、せめて無事を祈りたい
「えぇ、沙優も早く寝なさいね」
「……はい」
「それじゃあ、おやすみ」
「おやすみな、さい」
そう言って、ガチャと音がして受話器からはプー、プー、プーと音がする
「…………」
その規則正しくなる音を聞いて、私はそっと受話器をおいた
院長様…最後に声を聞けて良かったです。
最後の最後まで励ましてもらって、私ってば情けないな…
だけど…本当にありがとうございました…院長様
わたし、扇李の花嫁になってここを守ります、そして皆を…
「…よし」
迎えがくるまで、あと少ししかない
それまでに、やりたい事をやって置こう…
バチっと自分の頬を強く叩き、私は気合いをきれたのであった
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